ビシィッ!
鋭い音を立てて、ジョルトの持つ電気鞭がサイドスワイプの背中に直撃した。
「ジョルト!お前何考えてるんだよ!!」
「だって、こうしたら先生は悦んでくれたよ?」
ジョルトは悪びれない顔で言う。
「先生って、ラチェット先生・・・だよな。痛くて喜ぶ奴が居るかよ。あの先生の事だから、自分の体で怪我の治療の練習とかじゃないのか?」
サイドスワイプは必死で自分の常識内で理屈を考えた。
痛め付け合って快楽を得るなんて言う変わった性癖は彼には想像も出来なかったし、そんな趣味を持つ者が居る事すら知らなかったのだ。
「先生はね、言ってたよ」ジョルトは何処となく熱を帯びたような上目遣いでサイドスワイプの方を見た。「好きだから、痛くて良いんだって。好きな人に痛くされるのは、素晴らしい事なんだって」
「ハァ?」
サイドスワイプは呆れた声を出すしかなかった。
「俺にはさっぱり解らないよ、ジョルト」
「だからね、僕の大好きなもう一人の人、もこうやったら悦んでくれるかな、って」
「好き・・・って」
「うん。僕、サイドスワイプの事、大好き」ジョルトは邪気のない顔でにこりと笑った。「まあ、先生には負けるけどね」
「そ、それは兎も角として」
サイドスワイプは唐突なジョルトの告白に困惑しつつ、必死で話題を変えようとする。
「俺は痛いのは嫌だ。ディセプティコンと戦ってる時に怪我するなら兎も角、仲間に痛めつけられるなんて」
「ふーん・・・じゃあさ、サイドスワイプは痛くないのなら良いの?」
サイドスワイプが戸惑い、返事を返す前にジョルトはサイドスワイプの顔と自分の顔を近付け、おもむろに唇を合わせた。
「ちょ・・・お前・・・!!!何してんだよ馬鹿!!」
「痛いのはやだって言ったから」
「まあ・・・痛くない方が・・・俺は好きだけど・・・」
其処でジョルトの方を向き直し、睨み付ける。
「お前の一番はラチェット先生なんだろ?そう言う事は一番好きな人とするもんだ!」
「でも僕、サイドスワイプの事も好きだし」
ジョルトはサイドスワイプの背後からぎゅっと抱き付いた。
「ま、このぐらいなら・・・」
「本当?サイドスワイプ大好きー!」
幸せそうに体を寄せてくるジョルトの方を振り向きながら、こいつには多分敵わないな、とサイドスワイプは思ったのだった。